インチキ化学者さん経由で、ぐうたら化学者の愚痴。興味深く拝読いたしました。
 
私も、現在、悩んでいる。といっても、選択肢が与えられるかどうか、いまだ不明なのだが。
 
書いたように、実は先日、企業の面接を受けてきた。
 
Dを取得してからこっち、1〜2年ごと(でプロジェクトが終了する)に次のポストを探して移るポスドク稼業。今も、まもなくプロジェクトが終了するため、(この期に及んでもなお)海外のポスドクにぼちぼちと応募していた。
 
が、これが、例によってお断りばかり(どころか無視が多い、例によって)。(聞くところによると、(主にアジア諸国から)100から200の応募があるそうな。公募を探すより、希望の研究室に直接applyした方がよいようだ。って、何を今更。)っちゅうわけで、「ポスドクを探してるという話があったらお願いします」と、師にお願いしていた。
 
で、相変わらず色よい返事のない中、師から企業の中途採用の話が。話を聞いた時点では戸惑うばかりだったのだが、他にあてもないし、研究所を見学して、様子を見てから判断すれば、ということに。話を聞いたり、紹介記事を読んだりすると、ちょっと信じられないくらいに基礎研究に力を入れている(論文投稿やシンポジウムの開催)ようで、確かに魅力的ではあった。
 
で、いつの間にか完全に面接になっていた研究所見学へ行った。するとこれが、困ったことに、かなり魅力的であった。無骨に、技術を大切にする雰囲気。そしてさらに、その中でも「この研究所は」という思い。これがヒシヒシと感じられた。「いい話なんだろうけどね」と思っていたのが、結構、惚れて帰ってきた。
 
もともと、別にアカデミックにこだわっていたわけじゃない。企業の研究も独創的であるとは思っていたし、あの研究所ならば、まさにそうだろう。研究以外に移らなければならなくなっても、それが実力ならばしょうがないだろう。ちょー一流なら(一流ではダメ、一流はごろごろいる、とのこと)research fellowという道があるように。
 
と、まあ。この時点では悩むこともない心理状態だったのだけど、実に間の良いことに面接の直後に、応募していたポスドクの一つが一次審査を通ったらしいことが分かった、間接的に。時間の経過から察するに、補欠であろうが。パターンからすると、この後、referenceによる二次審査、interviewを経て決定と思われる。
 
さてさてさて、どうすべきや。世間的には、悩むことではないだろう。ポスドクは、permanentを得るまでのつなぎ。何年もポスドクを続けるのは無能の証拠だ。そして、年齢が年齢である。既に基礎特研に応募できないお年頃。ポスドクを続ければ、生きていけないであろう。
 
それでも。自分は納得していない。本音を言えば、さらに。
 
何を望むか。
 
まぁ、あっさり両方ダメになるかもしれないし、まだ悩む段階ではないであろう。
 
ちがうって、National Galleryに行くのが目的じゃないよ。