『From the Earth to the Moon』(Jules Verne著、 Lowell Bair訳、ISBN:0553214209
「Jules Verne、いいじゃないか」、というわけで買って読んだのがこれ。古典中の古典なのだけど、やはり読んでいなかった。理由は、「人が月へ行って探検するという、(科学的に)いい加減な話なのだろうと思っていたため」なのだけど、謝ります。とんでもない!全く違う!素晴らしい話でした。
これを読んだゴダート、ツィオルコフスキー、(オーベルトやフォン・ブラウンもかな)が「月ロケットを創ろう」と熱い思いを抱いたのも、よく分かる!

話の舞台は、南北戦争直後のアメリカ。大砲の改良・研究を行っていたGun Clubはその役割を終える。しかし、なにせ大砲を心から愛する人々。その目指すものを失い、生き甲斐を失い、途方に暮れている。そんな中、Gun ClubのPresidentが発表を行う。「月まで届く大砲を創る」、と。
そして、科学的に意義があり、心躍り、困難で巨大な目標を示されたGun Clubの男たちは、その達成に向けて邁進する。

というわけで、「いかにして月へ弾丸を送り込む大砲を創るか」が、展開されていく。次々と、その困難なハードルを克服していく男たち。
最近、『第六大陸』 (小川一水著、ISBN:415030727Xbk1)が「仮想プロジェクトXだ」と話題になっているけど、こちらも、まさにそんな感じであった。(大きな“科学的ウソ(だと思う)”もあるのだけど、これは、しょうがないよね。)

後半、方向が変わって、どうやって(科学的に正しく)落とし前をつけるのか、と思ったが…、見事に、結末へもっていった。こっれっがっ、また、ネタバレになるから書かないけど、いいっす。