量子力学と私』(朝永振一郎著、江沢洋編、ISBN:400311521Xbk1


タイトルが示すように、『科学者の自由な楽園』に比べて専門に近い内容となっている。悲しいかな、所々、フォロー出来なかった。もちろん、それでも、対象は「専門家以外」なのだが。


内容は、主に、「量子力学がどのような人々によって生み出され、発展してきたか」、また、「日本ではこの学問をどのように吸収し、貢献してきたか(特に、著者や湯川秀らが果たした役割」、そして、「量子力学の概念、その世界観」という点について、講演や解説が収録されている。
理研の面々や湯川秀樹とのやりとりなんかは興味深いし、量子力学的世界像を日常のスケールへ引きずり込んだ「光子の裁判」も実に楽しいのだけど、なんといってもインパクトのあったのは「滞独日記(抄)」。
自分に自信を持てずに悩み、孤独に苦しみ、うまくいきそうだと喜ぶも、ぬか喜びであったと落ち込む。ノーベル賞を得るほどの研究者にも、こんな一面があるのか、と。私なんぞと一緒にしちゃぁ、怒られるだろうけど…、すごい親近感が。