『アイ・アム』(菅浩江著、ISBN:4396328850bk1
ホスピス病棟の看護のために創られた円柱状の看護ロボット“ミキ”。看護に必要な技術・知識を持つミキは、同時に感情を、心を持っていた。ミキがロボットであるがゆえに、多くの患者は心を開かない。
ミキは悩む。ロボットに、“人間の真似をするプログラム”に看護は出来ない?人間とは何?自分は何?人の生きる価値は何?


というストーリー。
なるほど、こちらの書評にある通り、SFのネタはあっさりと分かってしまう、というか分かるように描かれている。そして、それはポイントではない。SF的ネタそのものではなく、それを題材として問いかけている。その問い、そして作者の示す答えこそがポイントとなる。
内容・バランス・テンポ、美しい。


ところで、本作品の感想を検索すると、

新井素子の『今はもういないわたしへ』 小林泰三 『人獣細工』 ジェイムズ・ティプトリ−・Jr 『接続された女』などを思い出してしまった。内容が似ているわけではない。共通しているのは、人間とはなにか、生きているってどういうことか、って考えさせるところ。
という言葉があった。実は、『今はもう…』と『人獣…』について、私も同じ思いを抱いたのだが、相棒には受け入れられなかったのだ。「俺だけか?」と悩んでいたので、同じ感想を持つ人がいて心強い。双方のファンからは受け入れられないのかもしれない。