njin2004-01-11

『宇宙へのパスポート 2』(笹本祐一著、解説・松浦晋也ISBN:4257036788bk1
(当然)『宇宙へのパスポート』(ISBN:4257036494)に続く第二段。著者と、著者が所属する宇宙作家クラブの面々による、ロケットの打ち上げの取材旅行日記。だが…、第一弾とは趣はだいぶ違う。(そして、私はこちらが好きだ。)
第一弾は、どちらかと言えば海外の打ち上げの様子(そして現地の食事などの旅行記)がメインだったのだけど、今回は日本、否、内之浦宇宙研(現在は、JAXAに統合)が中心。こっれっが、もうすごい。
なにがすごいって、金がない。でも、あきらめない。(外国に比べ)想像を絶する低予算で、だが、金のないところを知恵・情熱・努力で踏ん張り、外国に引けを取らない、すばらしい成果を上げ続けている。感動しました。
そして、本書を読んでようやくにして気付いたのが、宇宙研のシステムが「日本独自で発展をとげたものであり、世界でまれな存在である」ということ。つまり、世界のロケットは、結局ドイツに、フォンブラウンに遡るのだが、それとは別に発展したものである。またそれゆえ、(NASAのノウハウを導入した)NASDAとは、ほんの目と鼻の先ながら、使われる言葉から手順等、まったく違う。宇宙研のシステムは、手探りで、ひとつひとつ積み上げてきた結晶である。
また本書には、コラム・解説で語られる日本の宇宙開発、それを支えてきた、支えている人々、組織の物語(重力ターンの歴史、中島飛行機、「飛騨の匠が作ったみたいなロケットだ」)が紹介される。まさに、宇宙研のすばらしさを示す一冊。
白状すると、固体燃料ロケットを使っているということで、軽く見ているところがあったのだけど(すいません)、とんでもない考え違いだった。
というわけで、本書はまさに絶品!(残念なのは、あさりよしとおのイラストがないことでしょうか…)